肩関節の痛みにインピンジメント症候群があります。インピンジとは衝突するという意味です。肩関節を動かす動作の中で組織が衝突して痛みとして症状がでます。
臨床では多く見られる疾患です。多くの方は肩が痛くなると50肩だと思われがちですが、肩関節にも様々な疾患がありますので参考にして頂ければと思います。
肩関節のどこの組織が衝突するのか
一般的に腕を上げる動作中に痛みが生じます。おおよそ肩関節角度60°~120°の範囲で組織が衝突し痛みが誘発することが多いと言われます。
①腕を上げた時に肩甲骨の肩峰と、その下部にある肩峰下滑液包が衝突し痛みが誘発します。
この肩峰下滑液包が炎症し、腫れると痛みが増加していきます。
②腕を内側に捻りながら上げた時に、腕の骨(上腕骨の大結節)と靭帯(烏口肩峰靭帯)が衝突し痛みが、
誘発します。
肩関節エコー画像
画像は腕を上げた時に、上腕骨骨頭が肩甲骨関節窩に入り込む画像です。
なぜ衝突がおこるのか
肩関節は人体で1番、動きが多い関節なので負担もかかりやすいです。衝突する原因はいくつかあると思いますが、私は2つ考えます。
インナーマッスルの役割(腱板筋)
筋にはインナーマッスル(奥の筋肉)があります。衝突する原因にはインナーマッスルが関わってきます。
インナーマッスルは上記の4つの筋肉で構成され、肩関節の安定性の役割をしています。
①腱板筋の筋バランスが崩れる。スポーツなど繰り返し動作をしていると、筋緊張での伸張、収縮の低下してきます。低下することで、関節移動軸がズレてきます。この移動軸がずれると衝突(インピンジメント)がおこります。この状態でスポーツなどを続けていると、炎症が起こり痛みが強くなります。
②腱板筋の筋力低下による衝突(インピンジメント)。特に棘上筋の低下により衝突がおこります。
棘上筋の働きは外転(横に腕を上げる動作)作用ですが、この時に肩甲骨の関節窩に骨頭を引寄せる働きもします。
こちらは中年、高齢者で普段運動をしていない方に多いとおもいます。
棘上筋が低下すると、骨頭を関節窩に引寄せが弱くなり腕を上げる時に、肩峰または烏口肩峰靭帯に衝突(インピンジ)が起こり痛みを誘発する。
当院の治療法
- 炎症反応がある場合は、物理療法でまず炎症を抑えます。炎症が治まれば安静痛(ズキズキとした痛み)が無くなります。(3日~1週間)
- 腱板筋の緊張と柔軟性の改善と正しい肩関節の運動を促す運動療法で症状を改善していきます。
- ご自宅で出来る腱板筋のエクササイズをお伝えします。
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