外側上顆炎はテニス肘とも言われ、肘の外側部が痛みが出る病態です。テニス肘と言われるとおり、テニスのバックハンドで打ち返すときにラケットの芯に当てられない、もしくはボールの力に負けてしまい肘の外側部に負荷がかかり、痛みが出現してきます。また、テニス以外でも手作業などで、腕を酷使している方にも発症します。
痛みが出る場所
外側上顆とは腕の骨(上腕骨)にある名称です。肘の外側部に痛みが誘発します。
外側上顆に長・短橈側手根伸筋が付着します。これらの筋に繰り返し負荷をかけると、付着している外側上顆に炎症が起こり痛みが発症すると、外側上顆炎になります。
症状が強くなると
症状が悪化する前は、押して痛い、荷物を持ち上げた時に痛いという症状です。悪化すると何もしていなくても痛みがでる安静時痛の症状がでてきます。この安静時痛は炎症が強くなることで起こります。外側上顆部に触れると熱感があったり、腫れていることもあります。また就寝時に痛みで寝つけないこともあります。
なぜ痛みがでるのか
長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋に問題が起こり外側上顆部に痛みが発症します。
長橈側手根伸の走行
外側上顆稜から始まり、第2中手骨底まで。
主な筋の働きは手首の背屈(手首を上げる動作)
短橈側手根伸筋の走行
外側上顆から始まり、第3中手骨底(時に第2中手骨底の方もいるそうです)まで。
主な筋の働きは手首の背屈(手首を上げる動作)
テニスのバックハンド・PCのキーボードやクリック・ピッキングなどの手作業は手首を上げる動作が含まれます。この動作の繰り返しで付着している外側上顆部に負荷がかかり痛めます。
手首を上げる動作
長・短橈側手根伸筋が働く
簡単にできるテスト法
肘の外側が痛い方は、ご自身で簡単にできるテスト法があります。このテストで痛みが出れば外側上顆炎の可能性が高いです。
トムゼンテスト:痛いほうの腕を真っすぐにして、手首を上に上げようとします。逆手で手首に抵抗を加えます。この時に外側上顆に痛みが誘発すれば陽性となります。
中指伸展テスト:痛いほうの腕を真っすぐにし、指も開きます。逆手で中指を押して、中指が下がらないように抵抗させます。この時に外側上顆に痛みが誘発すれば陽性となります。
第2指伸展テスト:痛いほうの腕を真っすぐにし、指も開きます。逆手で示指を押して、示指が下がらないように抵抗させます。この時に外側上顆に痛みが誘発すれば陽性となります。
施術法
患部に熱感、腫脹がある場合はアイシングして、炎症を抑えます。
ハイボルテージ治療
ハイボルトとは高電圧電気刺激療法。
一般的な低周波治療器と比べて、高い電圧を用いるため、深部へのアプローチする。さらに、一般的な低周波治療器よりも皮膚抵抗が低く抑えられているのが特徴です。ピリピリ感が少ないので、電気刺激が苦手な方も治療が可能です。痛みの緩和や可動域の改善などに多く用いられています。
鍼治療
長・短橈側手根伸筋に直接鍼を刺し、痛みの緩和、筋緊張の緩和、血流改善をおこないます。また鍼に電気を流すことで、痛みの興奮を抑えることができます。痛みを抑える即効性があります。
鍼を怖がる方もいますが、そんなに痛くはないので怖がらずに鍼治療して、少しでも痛みが緩和したほうが楽だと思います。
キネシオテープ
キネシオテープは伸縮性があるテープで薬局などで購入が可能です。
長・短橈側手根伸筋の走行に沿ってはります。このテープは筋肉の負担軽減や皮膚を少し浮かせ、血流改善させます。日常生活で安静が困難になるため、このようなテープを利用して改善を早めます。
※皮膚が弱く、かぶれ易い方はキネシオテープは控えましょう。
サポーターの着用(エルボーバンド)
日常生活での負担を軽減させるのに、サポーターは有効になります。エルボーバンドを使用することで、長・短橈側手根伸筋を圧迫させ、付着部である外側上顆にストレスを減少することが出来ます。
なかなか、安静にすることが出来ない場所なので、サポーターを使用して改善を目指します。
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