腰痛の原因には様々ありますが、椎間板が原因で腰痛が誘発されることがあります。今回はそのメカニズムを解説します。
椎間板とは?
椎間板とは、腰椎と腰椎の間にあるクッションの役割をしている。椎間板は外側を構成する線維輪と内側を構成する髄核とで分けられます。
線維輪
線維輪は繊維軟骨からなり、張力負荷を受け止めながら髄核を保護している。また線維輪の前には前縦靭帯、後方は後縦靭帯があり補強している。しかし、後外側部分の補強が弱いためヘルニアの原因となる。
髄核
髄核は約70~90%が水分である。この水分量は加齢によって減少してくる。水分を取り除いた成分はプロテオグリカン65%、コラーゲン20%、残りは弾性繊維と様々なたんぱく質である。また髄核部には血管が存在しない。
この性質から水分の移動を上手く使い形状を変化させながら負担を緩衝している。
持続的に負荷をかけると椎間板から水分が失われ厚さが薄くなる、しかし、横になって寝ていると椎間板の負荷が減少し水分が椎間板へと戻ってくる。朝起きた時に身長が少し高くなるのはこの現象である。
椎間板への圧力
体勢による椎間板への圧力(Nachemson参考文献)
日常生活での立位、座位、臥位によって椎間板への内力が変わる。
臥位(横になって寝ている状態)の内圧は25キロ(250N)で、直立位になると50キロ(500N)に増えると報告している。直立位から上半身を40°前方に傾けると内圧は100キロ(1,000N)に達する。10キロ(100N)の物を持ちあがた時にかかる圧は170キロ(1700N)に増加する。また、咳をした際の圧は70キロ(700N)増加する。背もたれの無い椅子での正常な腰椎椎間板内圧は70キロ(700N)である。ただ、腰椎の支持がなされた場合は40キロ(400N)に軽減する。
このことから、中腰姿勢での仕事、物を持ち運ぶ仕事、長時間の座位仕事では椎間板に負担がかかり、症状の誘発もしくは増悪することが分かります。
椎間板由来の腰痛
腰痛を引き起こす3つの要因
❶線維輪外側部にある疼痛知覚部に直接的な外傷を負った場合
❷椎間板が境界線を逸脱し、神経への圧迫、刺激が加わる腰椎ヘルニア。
❸椎間板の厚さが減少することで椎体同士が接触し、関節が不安定となる退行性変性。
※ヘルニアや退行性変性になっていても、必ずしも症状が発症するとも限らない。検査結果と症状の関係性の不一致は、臨床では非常に悩みます。
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